ヨシムラ
noslisu(ノスリス)は、カワサキの社内公募制度であるビジネスアイディアチャレンジから生まれてきた電動3輪ビークルだ。試乗したノスリスは、誰もが足代わりに乗れるやさしさに満ちていた。
転びそうになくて乗っていて楽しい
経験したことのない新しい乗り物に乗る時は、少なからずワクワクドキドキするものである。このノスリスに対しても同じこと。ノスリスは3輪自転車で停止時に自立していて、普通に運転していれば倒れないのだが、バンクもするので、地面に着いていた足をペダルに乗せて走り出す瞬間は、どうなるものかと不安も感じていた。
でも、コイツは自転車感覚で乗れて、リラックスして乗ることができる。それでいて、倒れそうと感じてしまうような状況でも、車体の傾きが20度になるともちこたえてくれる。
ノスリスには、電動アシストモデルとフル電動モデルがあって、前者はペダル操作をモーターの動力が補助、後者はスロットル(スノーモービルやATV同様の親指操作のレバー)だけで走れる。
フル電動モデルだとラクに30㎞/hを超え、爽快で、遠くまで脚を伸ばせそうな反面、前輪のトラック(トレッド)幅が若干大きく、ハンドル切れ角も小さいので、機敏性には欠ける。電動アシストモデルにしても、バンク角は20度に制限されているので、僕みたいなバイク乗りの遊び心を満足させるには、ちょっとスポーティさに欠ける気もする。
だけど“高齢者が一人で気楽に乗れる乗り物”というコンセプトが、シッカリと具現化されていることに感心させられてしまうのである。
EVモデル
価格:32万円
フル電動のEVモデルはペダルをこがなくてもモーターの動力だけ(漕いで動力を補助してもいい)での走行が可能だ。トレッド(左右前輪幅)は750㎜、ハンドル切れ角は30度で、左右前輪の間の重心の低いスペースに積載キャリアが装備される。車重は31㎏で、電動アシストモデルよりも3㎏重い。
電動アシストモデル
価格:27万円
電動アシストモデルの操作方法は、多くの電動アシスト自転車に準じている。前輪トレッド600㎜、ハンドル切れ角40度で、積載キャリアは前上部に設けられる。積載可能重量はEVモデルと同じく20㎏とされる。車体下部に置かれるバッテリーは、出力250W/重量2.5㎏(EVモデルは500W/4㎏)だ
和歌山 利宏
バイクジャーナリスト。バイクメーカーの元開発ライダーで、メカニズムからライディングまで、自身の経験にもとづいて幅広い知識を持つ。これまでに国内外問わず、車両のインプレッションも数多く行なっている。