1991年モデル TENGAI(天涯)
※写真の車両は一部のパーツがノーマルとは異なります

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ヨシムラ

まだデュアルパーパスやマルチパーパスなどと呼ばれていた80年代後半から、オフロード車ベースのアドベンチャー系モデルを多数リリースしていたカワサキ。ここでは、その代表的なモデルをピックアップ。それぞれの機能や特色について紹介しよう。

厳しい生存競争の中で姿を消した悲運の名車

80年代後半、各メーカーが次々とビッグオフロードをリリースしていた。当時このカテゴリーでやや劣勢だったカワサキが、市場の巻き返しを図るべく投入したのが、ある意味カワサキのアドベンチャー系ファーストモデルともいえる天涯だ。

天涯は、型式が“KL650-B”となっていることからも想像がつきそうだが、初期型KLR650の1987年型がベースになっている。それだけにフルカウル化により大幅にイメージチェンジされているものの、タンクからテールカウルにかけての外装パーツは、シートも含めてKLRと同形状のものを採用。エンジンやフレームついても同様のパーツが用いられている。

このような外観から、天涯はKLR650のバリエーションモデルの一つと思われがちだが、実際はかなり細かなところまでモディファイされている。セミフラットスライドのCVKφ40㎜キャブレターを用いてのパワーアップを筆頭に、デュアルピストンキャリパーの採用による制動力の強化、メーターユニットのカウルマウントによるハンドリング特性の向上などにより、基本性能も大幅にアップされている。

そのパフォーマンスの高さとは裏腹に、残念ながら販売台数があまり伸びなかったため、わずか3年で販売終了してしまう。ただし、後にリリースされたKLR650を見る限り、このモデルでつちかったノウハウは、その後のマシン作りにしっかりとフィードバックされているようだ。

1991年モデル TENGAI(天涯)
1991年モデル TENGAI(天涯)

車体デザインはイタリアのスタジオで行なわれたという逸話があるだけに、どことなくカジバやKTMのようなヨーロッパ車的なムードを漂わせる。残念ながら好成績は残せなかったが、パリ・ダカール・ラリーのベース車にも選ばれた名機だ

1991年モデル TENGAI(天涯)の主なスペック

全長×全幅×全高 2,220×920×1,300(㎜)
軸間距離 1,480㎜
シート高 870㎜
乾燥重量 159㎏
エンジン 水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒・651㎤
ボア×ストローク 100.0×83.0(㎜)
最高出力 48㎰/6,500rpm
最大トルク 5.6㎏f・m/5,500rpm
燃料タンク容量 23ℓ
タイヤサイズ (F)90/90-21
(R)130/80-17
価格 輸出車



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