ヨシムラ
ベベルギア駆動のカムシャフトを持つ美しい造型の並列2気筒エンジンを持つW800。そのファイナルエディションは、1973年のW3を彷彿させるカラーリングで登場した。締めの1台として最高の演出となっている。
流していても満たされる独特のフィーリング
丸型ライトにティアドロップ型のタンクという、普遍的なスタイルでありながら、これほどまで存在感のあるバイクは今後も簡単には出てこないだろう。そう思わせるのに十分な独自の世界観を持つW800も、ファイナルエディションとなって登場した。
1999年に登場したW650は、W1をイメージしたモデルだが、単に過去の製品をコピーしたのではない。エンジン形式こそ同じだが、W650はベベルギアでカムを駆動させる方式を採用。カムチェーン方式より精度が必要でコストもかかるが、カワサキには美しいバイクを作りたいという想いがあったのだ。その結果W650はユーザーに受け入れられ、ロングセラーとなったが、2008年に生産終了となる。その後、2011年にW800として復活すると再び人気を博した。ところが、安定した人気を確保しつつも、W800は5年で終止符が打たれることになった。
W800ファイナルエディションの一番の特徴は、1973年発売のW3のカラーリングを採用したこと。しかも4度塗りという塗装工程も踏襲しており、非常に美しい輝きを放つ。バフ研磨されたエンジンカバーやメッキマフラーなども含め、高級感を演出すると同時に磨き上げる喜びも提供してくれる。
ハイパワーでも鋭いハンドリングを持つわけでもない。しかしW800で走る時間というのは、他にはない最高にぜいたくなもの。それを手に入れるチャンスはまだ残っている。
2016年モデル W800のライディングポジション
2016年モデル W800の主なスペック
マーケットコード | EJ800AGS | |
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型式 | EBL-EJ800A | |
全長x全幅x全高 | 2,180mm×790mm×1,075mm | |
軸間距離 | 1,465mm | |
最低地上高 | 125mm | |
シート高 | 790mm | |
キャスター/トレール | 27°/108mm | |
エンジン種類/弁方式 | 空冷4ストローク並列2気筒/SOHC4バルブ | |
総排気量 | 773cm³ | |
内径x行程/圧縮比 | 77.0mm×83.0mm/8.4:1 | |
最高出力 | 35kW(48PS)/6,500rpm | |
最大トルク | 62N・m(6.3kgf・m)/2,500rpm | |
始動方式 | セルフスターター | |
点火方式 | バッテリ&コイル(トランジスタ点火) | |
潤滑方式 | ウェットサンプ | |
エンジンオイル容量 | 3.2L | |
燃料供給方式 | フューエルインジェクション | |
トランスミッション形式 | 常噛5段リターン | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
ギヤ・レシオ | 1速 | 2.352(40/17) |
2速 | 1.590(35/22) | |
3速 | 1.240(31/25) | |
4速 | 1.000(28/28) | |
5速 | 0.851(23/27) | |
一次減速比 / 二次減速比 | 2.095(88/42) / 2.466(37/15) | |
フレーム形式 | ダブルクレードル | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック(インナーチューブ径 39mm) |
後 | スイングアーム | |
ホイールトラベル | 前 | 130mm |
後 | 106mm | |
タイヤサイズ | 前 | 100/90-19M/C 57H |
後 | 130/80-18M/C 66H | |
ホイールサイズ | 前 | 19×2.15 |
後 | 18M/C×MT2.75 | |
ブレーキ形式 | 前 | シングルディスク300mm(外径) |
後 | ドラム(リーディング・トレーリング)160mm(内径) | |
ステアリングアングル(左/右) | 37°/ 37° | |
車両重量 | 216kg | |
使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン | |
燃料タンク容量 | 14L | |
乗車定員 | 2名 | |
定地燃費(2名乗車時) | 33km/L(60km/h・国土交通省届出値) | |
最小回転半径 | 2.7m | |
カラー | キャンディサンストーンチャコール×キャンディサンセットオレンジ(BRN) | |
発売日 | 2016年7月15日 | |
価格 | 92万5,560円(税込み・当時) |
1973年モデル 650RS W3
Wシリーズのルーツ[1966年モデル W1]
Wシリーズの変遷
1999年モデル W650(ローハンドル)
1999年モデル W650(アップハンドル)
2006年モデル W400
横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。