ヨシムラ
大分県のオートポリスでNinja ZX-25Rを試乗した。ライダーは和歌山利宏氏と鶴田竜二氏。走り終えて、同席したカワサキ開発者と、Ninja ZX-25Rの走行性能について意見を交わす。
これぞバイクの原点! 大人が童心になってNinja ZX-25Rを語る
和歌山 利宏
Ninja ZX-25Rは、バイクの乗り方を再確認しつつ、ライディングを純粋に楽しめるバイクだと思いました。コーナリング一つとっても、回転数やスピードを変えることで、同じコーナーでもいろいろな走り方を楽しむことができる。ワイドレンジにスポーツ走行を楽しめるように感じましたね。
カワサキ開発者
間口はかなり広げています。それこそ「このバイク、カッコいい」ということで購入いただいて、またがってみたら足着きがいいことに気付く。さっそくツーリングに出かけたら、お尻も痛くないことを体感し、峠を走ったら、よく曲がる! 乗り方を変えたらもっとよく曲がって、どんどん乗るのが楽しくなっていく。このようにカタチから入っても、走る楽しさを存分に楽しんでいただけるように仕上げました。
和歌山 利宏
それだけテストライダーがしっかり作りこんだんでしょうね。実際、各パーツのまとまりがすごくいい。
鶴田竜二
サスペンションを変えたりパワーユニットに手を加えたりすれば、もっと速く走れるのは確実。でも、標準装備のモデルということで、間口は広くスポーティにも走れるという、基本コンセプトがしっかりとしていると思います。250㏄クラスとしては斬新な機能が多く盛り込まれていますが、それらがうまくマッチングしていて、扱いやすくもスポーティな車両になっていますよね。
カワサキ開発者
エンジンとフューエルインジェクションのマッチングも、かなり煮詰めていて、扱いやすいだけでなく、パワー感もしっかりと出しています。このパワー感はサーキットだけでなく、市街地でも体感できます。たとえば40㎞/hくらいで走っていて、前方が空いた時にクイックに加速できる。そのパワー感がありながら粘りもある。Uターンする時などかなりの低速で走っていてエンスト、そして立ちゴケ…、なんて一番くやしい転倒ですよね。そんな悲劇を極力減らせるように、低速で粘るエンジンにしているんです。そういった意味でも、日常の使い勝手がいいんです。
和歌山 利宏
その点で昔のエンジンと違うわけですね。
カワサキ開発者
昔のエンジンの数値的な点は参考にしましたが、設計思想はZX-10RやZX-6Rといった最新エンジンから取り入れているんです。
鶴田竜二
高いポテンシャルが秘められていますよね。サーキットではかなり攻め込みましたが、まだまだ秘められた性能を感じます。
カワサキ開発者
そのポテンシャルをぜひレースで開放してほしいですね。
和歌山 利宏
レーシングマシン的な見方をすると、車体がちょっとねじれる印象を受けたんですが。
カワサキ開発者
かなり高い次元で走った時の印象だと思いますが、そのねじれを、どのように受け止めるかです。高いライディングスキルを持ったライダーが速く走ると、ねじれを感じることがありますが、見方を変えれば、車体の症状がわかりやすいとも言えます。突然限界点が訪れると転倒しやすいですし、思い切って攻めづらくなるのではないでしょうか。その点、Ninja ZX-25Rの場合、ピッチングモーションとか車体の剛性感など、車両が今、どのような状態なのかライダーに伝わりやすくしているんです。
鶴田竜二
サーキットを攻めこんだ時だけでなく、市街地でも車体のインフォメーションがよく伝わってきました。
カワサキ開発者
スポーツ性と快適性をいかにバランスさせるか、ということにもこだわっているんです。そもそも早く走れるバイクを突き詰めていくと、乗りやすくなっていきますからね。Ninja ZX-25Rにもその考え方が受け継がれているんです。
鶴田竜二
今のZX-10Rも乗りやすくできていますしね。
カワサキ開発者
重量配分はZX-10R、ホイールベースはZX-6Rを参考にして、それらの車体設計の思想を250㏄クラスに落とし込んでいったんです。
鶴田竜二
Ninja ZX-25Rもスポーティかつ乗りやすい。もっとスポーティに走ろうとするなら、ハイグリップタイヤを付ける方法もあるけれど、標準装備のタイヤだからこその楽しみがあると思います。車体とうまくマッチしているので、それこそレースしたら楽しいかも。
カワサキ開発者
そうそう! 本当にそうですよ! レース、いいですね。
鶴田竜二
今回はこの乗り方だったけれど、次は乗り方を変えたらもっと早く走れるかもしれないし、コーナリングもうまく決まるかもしれない…、などとライダー同士で話をしながらタイムを競い合うのもいいですね。
カワサキ開発者
今回の試乗会でも、参加していただいたライダーの皆さんは、本当に楽しそうで、次はどうやって走ろうかと、ライダー同士で意見交換していたのが印象的でした。
和歌山 利宏
乗り方に対して、ああだこうだと仲間で話す。Ninja ZX-25Rに乗ると、ついそうなってしまいますよね。これってバイクの原点ですよ。
和歌山利宏
モータージャーナリスト。元バイクメーカーの開発ライダーで、メカニズムからライディングまで自身の経験に基づいた幅広い知識を持つ。車両からパーツまで、国内外の試乗会に積極的に参加している。
鶴田竜二
アフターパーツを展開するトリックスターの代表。チームグリーンの元ライダーで、これまで鈴鹿8耐や全日本ロードレースに参戦してきた。近年は監督としてチームをまとめ、海外チームとコラボして世界耐久にも参戦する。
https://www.trickstar.jp/
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