ヨシムラ
アナログな操作性をあえて重視しつつも先端のワイヤーレス化
エンジンの制御はトラクションコントロールやパワーモード切替だけではない。スロットル径ø30mmの電子制御スロットルバルブを採用し、インジェクターとスロットルバルブをECUでコントロール。つねに最適な混合気をエンジンに供給することを意図した。これにより、スムーズで自然なエンジンレスポンスの提供に加え、KTRC、パワーモード切替など、ライダーがよりマシンとの一体感を感じることができるライダーサポートシステムの使用を可能とした、とカワサキは解説する。
また、スロットルはケーブルレスではあるが、自然なフィーリングを実現するため、あえてスロットルケーブルの操作感を残しているとのこと。あえてライダーにアナログな感覚を残し、操作している感触をライダーに伝達させるという手法はなかなかおもしろい。これもまた“ライダーが操る楽しさ”の演出といえるだろう。
Ninja ZX-25R SEに標準装備化されたクイックシフターの存在
Ninja ZX-25R SEに標準装備化され、Ninja ZX-25R標準仕様にはアクセサリー設定されているKQS(カワサキクイックシフター)。ちなみにアクセサリーの価格は税込み4万810円だ。このKQSは250㏄クラスでは初採用となるが、このクイックシフターは単にシフトアップだけではなくシフトダウンにも対応可能となる。
仕組みはというと、シフトアップ時はシフトペダルの操作を検知すると点火/燃料カットの信号をECUに送信、クラッチ操作なしに次のギヤへシフトアップが可能となる。一方で、シフトダウン時はシフトペダルの操作を検知するとエンジン回転制御の信号をECUに送信し、クラッチ操作なしに次のギヤへシフトダウンが可能となる、という内容だ。
カワサキとしてはKQSを採用することでスムーズな加速と、クイックでイージーな減速を実現し、爽快なエンジン特性をより楽しめるようになると解説している。それが250㏄クラスに採用されるのだから、カワサキがNinja ZX-25R SEをいかに走りやすくさせようとしているのかが垣間見られる。
なお“下位モデル”と表現すると少し語弊はあるが、オートシフターと呼ばれる機構も市販品になるとシフトアップのみに対応するモノが多い。これはシフトアップだけなら初歩的な電子制御でも対応可能だからだ。ところが、シフトダウンはギヤや回転数によっては発生するであろう強烈なバックトルクをどう制御するかがキモとなるので、エンジン出力をつかさどるECUがどう介入するのかが大きな問題となる。高度な処理能力が必要になるポイントでもあるが、そこはECU自体も高度なZ H2と同一のプラットフォームを使用することで対処。スーパースポーツとそん色ないシフトコントロールを実現しているのだ。
動作には他車種だと2,500rpm以上をキープし、シフトアップ時にはスロットルを開けて逆にシフトダウン時はスロットルを閉じる、シフトチェンジ後は速やかにシフトペダルを中立位置に戻す、レッドゾーン近くでのシフトダウンには対応しない、といった操作上の注意事項が存在するが、その点はおそらくNinja ZX-25Rでも共通かもしれない。
完全新設計の並列4気筒250㏄エンジンを採用するNinja ZX-25Rが9月10日(木)から全国で発売開始! 価格は82万5,000円から
四ッ井 和彰
カワサキイチバンを運営するクレタで各出版物の編集部に長年所属。カワサキバイクマガジンやカスタムピープルでは編集部員として記事執筆や写真撮影などを担当した。カワサキ歴は2000年代後半になってからGPZ1000RX、KSR-Ⅱ、GPZ600Rなどを乗り継いできた遅咲きの1972年生まれ。