ヨシムラ
前後サスペンションの要、ショックユニットにはNinja ZXシリーズ直系の技術が投入
フロントに用いられているφ37㎜SFF-BP(セパレートファンクションフロントフォーク-ビッグピストン)は、ショーワのSFF(セパレートファンクションフロントフォーク)とBPF(ビッグピストンフロントフォーク)のコンセプトを組み合わせた先端技術の結晶で、Ninja ZX-6Rで採用された倒立フロントフォークと同種の技術となる。250㏄クラスでは初採用だ。
特性はというと、BPFと同様にストローク初期はスムーズに動き、ブレーキング時の安定性を高めることに寄与。大径のダンピングピストンは同サイズのカートリッジ式フロントフォークで使用されるピストンより大径で、フロントフォーク内部のオイルはより大きな表面積に作用することになるので、同じ減衰力を確保しながらも減衰圧力を低減することができるのだという。そして減衰圧力が低減することでスライドパイプの動きがよりスムーズにすることができるとのこと。とくにその特性はストローク初期で顕著に表れ、フロントフォークが縮み始めるときのコントロール性が高まるので、減速時に車体が前荷重になる際の姿勢変化が緩やかになり、コーナー入り口の安定性が向上できる、とカワサキは説明する。もちろんこの特性はサーキットやワインディングのみならず、街乗りなどのさまざまなシチュエーションに恩恵を与える内容だ。なお、フロントフォークのセッティングは街乗りからサーキット走行さまざまなシチュエーションに適合した内容となり、サーキットでのパフォーマンスはもちろん、日常的な使いやすさと両立させることができるという。
また、リヤはショックユニットとリンケージをスイングアーム上方に配置したホリゾンタルバックリンクリヤサスペンションを採用。この配置によりピボット下部にスペースが確保できるので、マフラーに大容量チャンバーの搭載が可能となり、マスの集中化にも貢献している。ホリゾンタルバックリンクリヤサスペンションは250㏄クラス初となるレイアウトとなり、Ninja ZX-10Rと同種のレイアウトだ。負荷に応じて適切な反発力と減衰力を発揮するプログレッシブな特性をもたらし、スーパースポーツハンドリングに大きく寄与するとのこと。
フロント/リヤサスペンションのいずれも中核パーツとなるショックアブソーバには250㏄クラスには初採用となるパーツやレイアウトが採用された。しかもNinja ZXシリーズと同種ということで、期待も高まるパートだ。
フロントブレーキはシングルながら高い制動力を発揮する構成
ブレーキも非常に強力だ。フロントはφ310㎜の大径セミフローティングディスクローターと、異径対向4ポットキャリパーという組み合わせとなる。キャリパーはサイドマウントではなくラジアルマウントとし、さらにモノブロック構造を採用することで、強力かつ過酷なブレーキング時にも安定した制動力確保を担っている。
すでに公開されている写真から察せられるように、フロントはシングルディスクだ。これは重量低減によるハンドリング向上を意図したもので、かつ強力なラジアルマウント式モノブロックキャリパーを採用したことで、シングルディスクでも強力な制動力と高いコントロール性を発揮可能と判断したのだろう。カワサキも”すべての速度域で高い制動力を実現”と解説する。
リヤブレーキはφ220㎜ディスクローターとφ38㎜の1ポット(片押し)キャリパーを採用。ブレーキレバー比(マスターシリンダーとキャリパー、ブレーキペダル)とブレーキパッドは制動力のみならずコントロール性も考慮して決定しており、とくに低速走行時の扱いやすさを重視した設定となる。
システムはニッシンの最新ABSコントロールユニットで制御。バイク用として特別設計されたABSで、軽量かつコンパクト、さらに緻密なブレーキ制御を得られたとのこと。
スタイリッシュな形状のホイールとオールラウンダーなスポーツラジアルタイヤを組み合わせる
ホイールは星形5本スポークを採用することで軽量化させるとともに高い剛性を確保してハンドリング性能の向上に寄与。細身でスタイリッシュな造形とすることで、Ninja ZX-25Rの俊敏で軽快なイメージアップにもつなげている。
タイヤはというとスポーツモデルらしく軽量なラジアルタイヤを採用。純正採用されるのはダンロップGPR300だ。ダンロップGPR300は汎用性が高く、さまざまなシチュエーションでも高いグリップ力を発揮し、かつ機敏なハンドリングと良好な乗り心地が得られると定評あるモデルだ。なお、純正採用されるタイヤは車両専用にチューニングされることが多いので、この純正採用タイヤはNinja ZX-25Rの特性をより引き出すことができる性能を持たせていると想像できる。タイヤサイズはフロントが110/70-17、リヤは150/60-17。リヤはNinja 400と同サイズとなっており、ワイドなリヤタイヤによって堂々とした印象をもたらしている。
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四ッ井 和彰
カワサキイチバンを運営するクレタで各出版物の編集部に長年所属。カワサキバイクマガジンやカスタムピープルでは編集部員として記事執筆や写真撮影などを担当した。カワサキ歴は2000年代後半になってからGPZ1000RX、KSR-Ⅱ、GPZ600Rなどを乗り継いできた遅咲きの1972年生まれ。