ヨシムラ
雰囲気を味わうための要素が強い250TRのフォルム。しかし、モチーフとされたかつての250TRは、不整地を走行するために、そのスタイルでなければならなかったのだ。あらためて、ダート走行を考えながら走行性能を検証した。
レトロな姿に垣間見る、不整地走行モデルの名残
かつてスクランブラーと呼ばれるカテゴリーがあった。70年代以前、オフロードと呼ばれるカテゴリーがなく、オンロードモデルの足まわりなどに手を加え、不整地走行を楽しんでいた時代のことだ。そこから時代が進み、ややオフロードモデルに近づいた車両が発売されるようになる。ちょうどそのころ、カワサキは本格派トレールモデルとしてTRシリーズをラインナップ。その中の一台が1970年に発売された250TRだ。
今回紹介する250TRは、その70年代の250TRをモチーフに、現代の技術を持って復活させたモデルである。デザインは70年代の250TRに非常に近く、ホイールもフロント19インチ、リヤ18インチといったように共通のサイズとしている。そういったこともあり、ツーリング先で偶然ダートに出くわしたときなど、250TRであれば、肩ヒジ張らずに前進することができる。
このようにかつてのトレールモデルのイメージをもった250TRだが、現在でも、以前同様不整地での走行性能を追求しているかといったらその要素は薄く、どちらかといえば、ストリートで使用されることの方が多い。オフロードでの走行性能が欲しいのなら、KLXシリーズのような本格的なデュアルパーパスモデルもラインナップされている。ただ、250TRは、不整地走行も可能とすると同時に、70年代以前のレトロな雰囲気を堪能するという魅力も兼ねそろえているのだ。
そして、かつての250TRが不整地走行を目的としていただけあって、そのスタイルを模したこの250TRもポジション移動の自由度は非常に高い。タンク・シートともに細く、比較的フラットにつながっているため、足着きは非常にいい。仮にシートがネイキッドやスーパースポーツなどのように、ライダー部とタンデマー部で段差があったとしよう。すると、ライダーの着座位置が限定されてしまい、ダート走行をしたときなど、ライディングに影響をおよぼしてしまうのだ。ハンドルに関してもトレールモデルのなごりか、幅は広め。このハンドルと合わせて、スリムでフラットなシートやタンクなど、これらは、ダートを走ったときに車体をコントロールするのに効果を発揮するポイントでもある。
確かにこの250TRはストリートで使用されることが多いかもしれない。ただ、ポジションからくる、車体のコントロール性といった点からも、不整地を走行できる要素は含まれているのだ。