ヨシムラ
2018年モデルとして初登場したNinja ZX-10R SEは、Ninja ZX-10Rに電子制御サスペンションを装備することで、多くのライダーがあらゆるシチュエーションにおいて、最適セッティングで走りを楽しめるように企画されたモデルである。
量産車に初採用されたサスストロークセンサー
高性能化したマシンでは、サスペンションセッティングが合っていないと、本来の性能を発揮できず、うまく走れず楽しくもない。そこで、あらゆる条件において、多くの人たちが安全に楽しめるように開発されたのが、カワサキとショーワが共同開発したKECS(カワサキ・エレクトロニック・コントロール・サスペンション)だ。
ロード、トラック、マニュアルの3モードを選択でき、サスペンションストローク、車速、加減速Gから最適の減衰力に制御されるというシステムで、このKECSは他の電子制御サスペンションにない優位性を備えている。量産車にとって初となるストロークセンサーを前後に装備することで、情報をダイレクトに検知し制御、さらにソレノイドバルブでダイレクトにバルブ制御できるため、応答性が格段に高いのだ。
さらに、状況に応じて瞬時に減衰力を最適に制御できるので、ベースとなったバランスフリーフォークとバランスフリーリヤクッションライトのすぐれた素性が、そのまま活かされているというわけだ。
マルケジーニのアルミ鍛造ホイールとクイックシフターも装備されたSEは、大変に魅力的である。
KECS(カワサキ・エレクトロニック・コントロール・サスペンション)
セミアクティブサスペンションと呼ばれる電子制御サスペンションは、走行条件に応じて常に減衰力を最適に自動調整しようというものだ。減衰力のみをアクティブ制御するという意味で、セミアクティブと呼ばれる。すでにザックスやオーリンズがこの電子制御サスペンションを投入しているが、今回、ショーワもこの分野に進出。後発とはいえ、ストロークセンサーを装備し、さらに独自のソレノイドバルブでダイレクト制御することで、応答性にすぐれたものとなっているという。
Ninja ZX-10R SE(2018)の主なスペック
全長×全幅×全高 | 2,085×740×1,145(mm) |
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軸間距離 | 1,440mm |
シート高 | 835mm |
車両重量 | 208kg |
エンジン | 水冷4ストロークDOHC 4バルブ並列4気筒・998cm3 |
ボア×ストローク | 76.0×55.0(mm) |
最高出力 | 147.1kW(200ps)/13,000rpm |
最大トルク | 113.5N・m(11.6kgf・m)/11,500rpm |
燃料タンク容量 | 17ℓ |
タイヤサイズ | (F)120/70ZR17 (R)190/55ZR17 |
価格 | 264万5,000円(税抜・ブライト価格 ※当時) |
2019年モデルインプレッション記事
和歌山 利宏
バイクジャーナリスト。バイクメーカーの元開発ライダーで、メカニズムからライディングまで、自身の経験にもとづいて幅広い知識を持つ。これまでに国内外問わず、車両のインプレッションも数多く行なっている。