ヨシムラ
各種電子システムが旅を支えてくれる
Ninja H2 SX SEは、IMU(慣性計測装置)からの情報をもとにしたトラクションコントロールやABSなどにより車体の動きを的確に制御し、不安定な路面状況でもいたって普通に走らせてくれる。それらによってライダーはどれだけ助けられるか。電子制御システムと聞くと反射的に拒絶する人もいるが、今では街を走るほとんどのクルマにも採用されている技術だ。性能も向上し、ライダーに違和感を覚えさせるような介入の仕方もしなくなった。そもそもロングツーリングでは見知らぬ土地をどんな天候で走るか想像がつかない。それを影でサポートし、旅を充実したものにしてくれるのだからありがたい存在だといえよう。
ツーリング中、とくに便利だと感じた機能の一つがシフトアップのみならず、ダウンにも対応しているクイックシフターだ。最初はおもしろがって使っていたのだが、操作が単純化するので疲れにくいことが判明した。また、高速道路ではクルーズコントロールの効果も高い。希望する速度で左スイッチボックスのボタンを押すと、その速度で走り続けてくれる。+、−ボタンで設定速度の微調整が可能で、ブレーキ操作で解除される。これも最初はゲーム感覚で楽しんでいたが、明らかに疲労を軽減してくれる。それらの効果もあって今回の1000kmはアッという間に走り切った印象で、いつもよりも疲れも少なかった。
まとめ
現在のカワサキには大型4気筒ツアラーが多数ラインナップされている。長距離を乗って感じたのは、どれにも明確な個性があること。軽量でダイレクトなハンドリングを持ち、自らの手で高い運動性能を引き出す喜びがあるNinja 1000、巨大な船に乗っているような絶大なる安心感と、超安定した巡航性能を持つNinja ZX-14R、そして量産過給機エンジンが持つ爽快な加速感をリアルに味わわせてくれるNinja H2 SX SE。それぞれが実によい独自性を持っている。今後の楽しみは卓越した走破性能をほこるVERSYS 1000 SEだ。カワサキの大型4気筒ツアラー構想はとどまるところを知らない。
たそがれ度
シート快適性
ヘルメットホルダー
燃費
高速道路 | 23.97km/ℓ |
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一般道路 | 17.75km/ℓ |
ガソリン満タン航続距離 | 337.4km |
Ninja H2 SX SE
燃費性能の両立を目指して開発されたスーパーチャージド・エンジンは998ccから200psを発生。低中速回転域を重視した出力特性としてストリートでの使い勝手を高めている。タンデムやパニアケース装着に対応したトレリスフレームを採用。前後サスペンションはフルアジャスタブルとなっている。
Ninja H2 SX SEの主なスペック
年式 | 2018年モデル |
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全長×全幅×全高 | 2,135×775×1260(mm) |
軸間距離 | 1,480mm |
シート高 | 820mm |
車両重量 | 260kg |
エンジン型式・排気量 | 水冷4ストローク DOHC 4バルブ 並列4気筒・998cm3 |
最高出力 | 147kW(200ps)/11,000rpm |
最大トルク | 137N・m(14.0kgf・m)/9,500rpm |
燃料タンク容量 | 19ℓ |
タイヤサイズ | (F)120/70-17 (R)190/55-17 |
価格 | 220万円(税抜) |
横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。