ヨシムラ
長距離を走り予想以上に旅力があることを実感
初日は宿泊先まで約480km走り、翌日には一般道と高速道路を550kmほど走って編集部に戻った。一泊ツーリングとしては長距離の部類に入ると考えてもいいのではないだろうか。それだけ走っても前傾ポジションによる体の痛みなどはいっさいなかった。筆者の僕がセパレートハンドルのバイクに乗り慣れているからという理由はあると思うが、上質なサスペンションによる安定した挙動や、なめらかに吹け上がり振動が少ない並列4気筒エンジンの特性などもプラスになっている。
また、排気量が37cc増えていることも見逃せない。適度に加えられたトルクによって市街地での走行には余裕が持てたし、シフトチェンジの回数も減らせる。スリッパークラッチの採用でクラッチレバー操作が軽いことと、クイックシフターが装備されていることなども疲れにくい理由の一つ。ロングツーリングのときにはそういう細かい疲労が積み重なった結果ダメージになることが多いのだが、Ninja ZX-6Rではそのあたりが最小限に抑えられている。ゆえに前傾ポジションにさえ慣れてしまえばロングツーリングも十分こなせる。
気になるニンジャ650との違いは?
そして気になるのは同じミドルクラスのニンジャ650との違いであろう。セパレートハンドルながら高い位置にハンドルがセットされたニンジャ650のライディングポジションは多くの人にとってラクな姿勢だ。また、独特のビート感がある並列2気筒エンジンは低中回転域でのピックアップにすぐれていて、扱いやすくダッシュ力には定評がある。車重が約4kg軽いこともあり、多くのライダーに大型バイクの楽しさを体感させてくれる。対してZX-6Rはクラストップレベルのパワーを発揮するエンジンや高度なサスペンション&ブレーキ、電子システムなどによって、より質の高い走行フィーリングを体験させてくれる。長い歴史を誇るカワサキの並列4気筒ミドルスーパースポーツの魅力がギュッと凝縮されている存在。そのぶん価格も高いが、それだけの価値が十分にある1台だと言えよう。
引き起こし
取りまわし
乗り降り
シート快適性
たそがれ度
燃費
高速道路 | 22.40km/ℓ |
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一般道路 | 21.41km/ℓ |
ガソリン満タン航続距離 | 364.1km |
Ninja ZX-6R KRT EDITION
ストリートでの使い勝手を重視したミドルスーパースポーツ。レース仕様車と同一のアルミニウム製ペリメターフレームに636ccの直列4気筒エンジンを搭載。倒立サスペンションにリヤショック、モノブロックキャリパー、電子制御システムなど最新メカを備える
Ninja ZX-6R KRT EDITIONの主なスペック
年式 | 2019年モデル |
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全長×全幅×全高 | 2,025×710×1,100(mm) |
軸間距離 | 1,400mm |
シート高 | 830mm |
車両重量 | 197kg |
エンジン | 水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒・636cc |
最高出力 | 93kW(126ps)/13,500rpm |
最大トルク | 70N・m(7.1kgf-m)/11,000rpm |
燃料タンク容量 | 17ℓ |
タイヤサイズ | (F)120/70-17 (R)180/55-17 |
価格 | 123万円(税抜) |
横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。