ヨシムラ
バツグンの高速安定性は快適そのもの
翌日は高速道路での移動が中心となった。そこでは主に高速域での燃費性能や運動性、居住性をテストした。ニンジャ1000の特徴でもある3段階に可変できる大型スクリーンは、手動ながら大きめのプッシュボタンによって信号待ちなどでカンタンに調整できる。当然一番高い位置にすることで最大の防風効果を発揮するのだが、個人的には少し低い位置で走るのも好き。というのも適度な風がヘルメットに当たるほうが走っている実感が得られるからだ。そんな違いを楽しめるのもニンジャ1000の持ち味である。
高速走行時の安定性はバツグンで、快適そのもの。車体剛性の高さと足まわりのセッティングは良好で、荷物を満載している時はもちろんタンデム時はライダー、パッセンジャーともに不安を感じる場面は少ないないだろう。そう確信できたのは途中で急な雷雨に遭遇したから。路面がドライから一気にヘビーウェットに変わったにもかかわらずタイヤの接地感は心配したほど薄れず、走行フィーリングに大きな変化はなかった。必要以上に気をつかわなくてもよいことは季節、天候問わずに走るツーリング好きなライダーにとってもうれしいこと。ニンジャ1000の実力を体感した。
まとめ
実は出発前、ニンジャ1000の悪いところを探してやろうと思っていた。しかし走れば走るほどマイナス面が見当たらないという事実を突きつけられる結果となった。うーん困ったぞ。いや、ユーザー的にはまったく困らないどころか歓迎すべきことなのだろうけれど。こうなったらカワサキにはオールラウンド性能を徹底的に追求していってもらいたい。ひとつ注文するなら冬季のツーリングがより快適になるグリップヒーターを標準装備してほしい(※アクセサリーにて追加装備は可能)。そういった細かい部分を潰していき、現状を上回る世界最高レベルの“旅バイク”になることを期待したい。
引き起こし
乗り降り
シート快適性
たそがれ度
燃費
高速道路 | 20.59 km/ℓ |
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一般道路 | 16.95 km/ℓ |
ガソリン満タン航続距離 | 322.0km |
ニンジャ1000
Z1000と基本設計を同様として、フルカウルを装備したスポーツツアラー。当初はスポーティなフルカウルとアップハンドルの組み合わせに違和感を持った人もいたが、現在ではスポーツツアラーとしての地位を獲得。モデルチェンジのたびに熟成が進み、パニアケースを付けてツーリングに、外してスポーツライドにと幅広いフィールドをカバーする万能マシンへと進化している。“Ninja”の世界をさらに広げた立役者といえる存在だ。
ニンジャ1000の主なスペック
年式 | 2019年モデル |
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全長×全幅×全高 | 2,100×790×1,185(mm) |
軸間距離 | 1,440mm |
シート高 | 815mm |
車両重量 | 235kg |
エンジン | 水冷 4ストロークDOHC 4バルブ並列4気筒・1,043cm3 |
ボア×ストローク | 77.0×56.0(mm) |
最高出力 | 104kW(141ps)/10,000rpm |
最大トルク | 111N・m(11.3kgf・m)/7,300rpm |
燃料タンク容量 | 19ℓ |
タイヤサイズ | (F)120/70-17 (R)190/50-17 |
価格 | 118万円(税抜) |
横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。