カワサキ・バジャジ パルサー200NS

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ヨシムラ

パルサー200NSは、カワサキがインドネシア市場に放ったモデルだ。インドのバジャジ社のスポーツモデルに改良を加えたこのモデルは、どのような走行性能なのか。

実用性を手に入れたスポーツモデル

カワサキから登場したパルサーの生い立ちを考えると、バイク業界も含め、世界がグローバル化していることを、改めて思い知らされる。

パルサーはインドネシア向けモデルで、インドのバジャジ社のモデルにカワサキが改良を加えたモデルだ。そもそもバジャジは1985年からカワサキと提携関係にあり、カワサキのモデルも生産してきたのだが、パルサーはかねてからバジャジブランドの主力モデル。そして、これを新たにカワサキ車として展開すべく、カワサキの基準に合致するよう手が入れられたモデルが、このパルサー200NSというわけだ。

また、バジャジといえば、近年では、KTMの125〜390を生産していることでも知られている。何とも、国境なき世界である。

さて、エンジンを掛けると、そのサウンドには、どこかKTMに通じるものがある気がしないでもない。別設計とはいえ、ルーツには近いものがあったということだろうか。

だが、キャラクターはKTMとはまったく異なる。スポーツよりも日常的に使えることがねらいのようだ。だからエンジンも、1万rpmまで回る高回転型ながら、急激な立ち上がりを抑え、低回転からよどみなくなだらかに吹け上がっていく特性である。

またがった印象は、ワンクラス上の車格を感じさせ、ゆったりとした快適性が前面に押し出されている。軽快さよりも落ち着きが強調され、重厚感さえある。

ハンドリングも、十分に遊べるポテンシャルを備えながら、切れ味は抑えられる。日常使用で乗り手を刺激せず、疲れさせずに快適に移動できることが身上なのだ。

パルサー200NSは、バイクを生活の道具としても使えるスポーツモデルといえよう。

カワサキ・バジャジ パルサー200NS

バジャジのプレミアムモデルとして、4ストローク単気筒の初代パルサーが登場したのは2001年。その後、水冷エンジンを追加、アイデンティティともなっている3本プラグのDTS-i(デジタル・トリプルスパーク・イグニッション)を採用する他、燃料噴射式モデルも登場している。このインドネシア向けモデルは、カワサキとの合同プロジェクトモデルで、カワサキによって供給される。

カワサキ・バジャジ パルサー200NS

単気筒エンジンを搭載し、車体はスリムだが、ヘッドライトカバーや燃料タンク、リヤカウル周りのデザインでボリューム感を表現している。タイヤも幅小だが、フォルムのバランスは良好だ

カワサキ・バジャジ パルサー200NS

フレームは、スチール製のツインチューブタイプで、見るからに高剛性。しかし、乗って固さはなく、ハンドリングのドシッとした安定感に貢献している印象だ

カワサキ・バジャジ パルサー200NS

[RIDING POSITION]ライディングポジションは上体が起き、自然体で快適。ただし、軽量級モデルとしては大柄で、車重以上に重さを感じさせる印象があり、足着きも決してよくはない。ミドルクラスを感じさせ、余裕を持って乗れる、大らかなライディングポジションである(身長:161cm 体重:57kg)

主なスペック

全長×全幅×全高 1,965×810×1,055(mm)
軸間距離 1,360mm
シート高 805mm
車両重量 145kg
エンジン 空冷4ストロークOHC4バルブ単気筒・200cm3
ボア×ストローク 72.0×49.0(mm)
最高出力 16.92kw(23ps)/9,500rpm
最大トルク 17.65N・m(1.8kgf・m)/8,000rpm
燃料タンク容量 12ℓ
タイヤサイズ (F)100/80-17 (R)130/70-17
価格 34万9,000円(税抜・当時)
問い合わせMSLゼファー(当時)
電話番号03-3867-2194
WEBサイトhttp://www.msl-japan.com
和歌山 利宏

バイクジャーナリスト。バイクメーカーの元開発ライダーで、メカニズムからライディングまで、自身の経験にもとづいて幅広い知識を持つ。これまでに国内外問わず、車両のインプレッションも数多く行なっている。




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