ヨシムラ
ニンジャ250のDOHC4バルブ並列2気筒エンジンのルーツは1985年のGPZ250R、1990年のZZR250にまでさかのぼる。だが、その前身にZ250FTの存在があることも忘れてはならない。走りもそのことを物語っていたのだ。
扱いやすいからこそスポーツしたくもなる
ニンジャ250のエンジンは、水冷DOHC4バルブでバランサー付き。以前紹介したZ250FTとは隔世の感があるといっていい。実際、機械的にもはるかに完成度は高い。
ところが、それがZ250FTのよさの上に成り立っていることに気付かされる。両者は最大トルク値もその発生回転数8,500rpmも同じ。最高出力はZ250FTの27psに対しニンジャ250は31psで、見方によってはわずか4psの違いでしかない。
がしかし、Z250FTのレッドゾーンが1万rpmであるのに対し、ニンジャは1万1000rpmで最高出力を発揮し、1万3000rpmまで回る。つまり、最大値に大差なくても、最大値に近い高出力が、はるかに広範囲に発揮されるのである。
サーキットでの速さの理由は、そこにある。実際、8,000rpmからがパワーバンドと見ていいが、回してパワーを得ているので、パワーで走る感覚で楽しめる。
でも、8,500rpmのトルクピークまでの豊かな中高速トルクを活かして走ることもできる。これがサーキットでの底力と、一般道でのおもしろさを生んでおり、Z250FTのよさも引き継いでいる。
おまけに、極低回転域から、スムーズで扱いやすいエンジンは絶品だ。歩く速度で安定して走れるのである。最高出力の数値だけに捉われては語れないニンジャ250である。
主なスペック一覧
全長×全幅×全高 | 2,010[2,020]×715×1,110(mm) | |
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軸間距離 | 1,400mm[1,410mm] | |
最低地上高 | 140mm | |
シート高 | 785mm | |
ホイールトラベル | (F)120mm (R)132mm[134mm] | |
キャスター/トレール | 27°/93mm | |
ハンドル切れ角(左/右) | 35°/35° | |
Fサスペンション | 37mm(テレスコピック) | |
Fブレーキ | ペタルディスク(外径290mm) | |
Rサスペンション | ボトムリンク ユニ・トラック(ガス封入式) プリロード5段階調整式 |
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Rブレーキ | ペタルディスク(外径220mm) | |
車両重量 | 172kg(EX250L)、174kg(EX250M) | |
エンジン | 水冷4ストローク 並列2気筒 DOHC4バルブ 249cm3 | |
ボア×ストローク | 62.0×41.2(mm) | |
圧縮比 | 11.3 | |
最高出力 | 23.5kW(32PS)/11,000rpm [23.0kW(31PS)/11,000rpm] |
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最大トルク | 21.0N・m(2.1kgf・m)/10,000rpm [21.0N・m(2.1kgf・m)/8,500rpm] |
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トランスミッション型式 | 常噛6段リターン | |
一次減速比 | 3.087(71/23) | |
ギヤレシオ | 1速 | 2.600(39/15) |
2速 | 1.789(34/19) | |
3速 | 1.409(31/22) | |
4速 | 1.160(29/25) | |
5速 | 1.000(27/27) | |
6速 | 0.893(25/28) | |
二次減速比 | 3.286(46/14) [3.143(44/14)] |
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燃料タンク容量 | 17L | |
タイヤサイズ | (F)110/70-17M/C 54S (R)140/70-17M/C 66S |
※無印はインドネシア、マレーシア、フィリピン仕様
※[ ]内はオーストラリア、タイ、東南アジア仕様
※試乗車両は2014年輸出用モデル
和歌山 利宏
バイクジャーナリスト。バイクメーカーの元開発ライダーで、メカニズムからライディングまで、自身の経験にもとづいて幅広い知識を持つ。これまでに国内外問わず、車両のインプレッションも数多く行なっている。