ヨシムラ
ZRXシリーズは初代1100が市販されたのが1997年だから、登場してからかれこれ20年以上経つ。2001年型で1200に拡大され、国内専用車となった2009年型で、インジェクションとなったダエグへと進化した。エンジンのルーツはもちろんGPZ900Rだ。
ニンジャ系エンジンの集大成形
ZRX1200ダエグはスポーツ性に富むネイキッドだ。何にでも使える一方で、かつてのローソンレプリカさえ彷彿とさせてくれる。
エンジンは全域が強力で、3,500rpmも回っていれば、メリハリよくスポーツできる。5,000〜7,000rpmでもっとも力強く加速し、9,000rpm過ぎまで引っ張っての走りは痛快で、場所さえ許せば使い切るおもしろさがある。110psという最高出力は十分にして、過不足ない。また、機械としてもスキがなく、完成度の高さを思わせる。
ただ、今回、多くの絶版車と同時に試乗して印象的だったのは、スロットルを開けただけ加速し、閉じただけ減速することである。それも忠実過ぎるほどに、である。
確かによくできている。でも、いい加減さを受け付けてくれない。すぐに慣れてしまうとはいえ、慣れない人は操りにくく、疲れるのではないだろうか。
ところが、峠道でリズムに乗ってコーナーをこなし始めると、エンジンのレスポンスと走りのリズムがシンクロ。見事に高次元の走りを可能としてくれるではないか。そういった意味で、ハンドリングを始めとする車両キャラクターは、エンジンで決まるとの事実にも納得させられる。
でも、誰もが速く走りたいわけではないだろう。高次元化の裏返しを垣間見た気がしたのだった。
2016年モデル ZRX1200 DAEGの主なスペック
車名(通称名) | ZRX1200 DAEG | |
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マーケットコード | ZR1200DGF | |
型式 | EBL-ZRT20D | |
全長x全幅x全高 | 2,150mm×770mm×1,155mm | |
軸間距離 | 1,470mm | |
最低地上高 | 135mm | |
シート高 | 795mm | |
キャスター/トレール | 24.5°/ 100mm | |
エンジン種類/弁方式 | 水冷4ストローク並列4気筒 / DOHC 4バルブ | |
総排気量 | 1,164cm³ | |
内径x行程/圧縮比 | 79.0mm × 59.4mm / 10.1:1 | |
最高出力 | 81kW(110PS)/8,000rpm | |
最大トルク | 107N・m(10.9kgf・m)/6,000rpm | |
始動方式 | セルフスターター | |
点火方式 | バッテリ&コイル(トランジスタ点火) | |
潤滑方式 | ウエットサンプ | |
エンジンオイル容量 | 3.5L | |
燃料供給方式 | フューエルインジェクション | |
トランスミッション形式 | 常噛6段リターン | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
ギヤ・レシオ | 1速 | 2.733(41/15) |
2速 | 1.947(37/19) | |
3速 | 1.590(35/22) | |
4速 | 1.333(32/24) | |
5速 | 1.153(30/26) | |
6速 | 1.035(29/28) | |
一次減速比 / 二次減速比 | 1.615(84/52) / 2.444(44/18) | |
フレーム形式 | ダブルクレードル | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック(インナーチューブ径43mm) |
後 | スイングアーム(オイルショック) | |
ホイールトラベル | 前 | 115mm |
後 | 122mm | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70 ZR17M/C (58W) |
後 | 180/55 ZR17M/C (73W) | |
ホイールサイズ | 前 | 17M/C×MT3.50 |
後 | 17M/C×MT5.50 | |
ブレーキ形式 | 前 | デュアルディスク 310mm(外径) |
後 | シングルディスク 250mm(外径) | |
ステアリングアングル (左/右) |
38°/ 38° | |
車両重量 | 246kg | |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン | |
燃料タンク容量 | 18L | |
乗車定員 | 2名 | |
定地燃費(2名乗車時) | 25.8km/L(60km/h・国土交通省届出値) | |
最小回転半径 | 2.7m | |
カラー | メタリックスパークブラック(BLK) キャンディクリムゾンレッド(RED) |
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メーカー希望小売価格 | 117万2,880円(税込・当時) |
和歌山 利宏
バイクジャーナリスト。バイクメーカーの元開発ライダーで、メカニズムからライディングまで、自身の経験にもとづいて幅広い知識を持つ。これまでに国内外問わず、車両のインプレッションも数多く行なっている。