ヨシムラ
新フラッグシップとして1984年に登場したGPZ900Rは、水冷のバランサー付きDOHC4バルブエンジンをダイヤモンドフレームにリジットマウントし、900ccクラスで空冷1,100cc相当のパワーを得るとともに、軽量コンパクト化を実現した。
今日に明らかにされる狙った軽量コンパクト感
GPZ900Rは、実に画期的なモデルであった。エンジンを動力源としての単体ではなく、車体全体のなかで有機的に機能させ、車両コンセプトを実現させたのだ。
水冷並列4気筒エンジンによって、シリンダーピッチを短縮して左右幅を詰め、カムチェーンをサイド配置して、吸気ポートをストレート化、さらにコンパクト化が可能となった。性能的にも900ccクラスで十分に空冷1100ccクラスを越えられる。
バランサー軸を装着し、リジットマウントしたエンジンを剛性部材として利用。ダウンチューブのないダイヤモンドフレームなら、マフラーの取りまわしも有利で、エンジンを前方低位置に搭載し、前輪分布荷重増大と低重心化も図れる。こんな具合に、最高水準の高性能実現と、軽量コンパクト化を狙ったのだ。
GPZ900Rの車格は、人間の身体にジャストサイズ。それはカフェレーサースタイルのネイキッドスポーツといったところで、普遍的な魅力が放たれている。
ZRX1200ダエグ(以下、ダエグ)のエンジンのルーツが、このGPZにあることを物語るかのように、エンジンのフィーリングには通じるものがある。ダエグからトルクを細くし、レスポンスを重くしたものと表現しても差し支えない。
しかし、燃料供給がキャブレター式のいい意味でのファジーさには、捨てがたい魅力がある。
GPZ900Rの主なスペック
型式 | ZX900A |
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全長×全幅×全高 | 2,200×750×1,215mm |
ホイールベース | 1,495mm |
最低地上高 | 140mm |
シート高 | 780mm |
乾燥重量 | 228kg |
エンジン | 水冷4ストロークDOHC並列4気筒4バルブ・908cc |
ボア×ストローク/圧縮比 | 72.5×55.0mm/11.0 |
最高出力 | 110ps(81kW)/9,500rpm |
最大トルク | 8.7kg-m(85Nm)/8,500rpm |
燃料タンク容量 | 22ℓ |
変速機 | 常噛6速リターン |
キャスター/トレール | 29°/114mm |
ブレーキ/F | ダブルディスクφ280mm |
ブレーキ/R | シングルディスクφ270mm |
タイヤサイズ/F | 120/80V16-V250 |
タイヤサイズ/R | 130/80V18-V250 |
和歌山 利宏
バイクジャーナリスト。バイクメーカーの元開発ライダーで、メカニズムからライディングまで、自身の経験にもとづいて幅広い知識を持つ。これまでに国内外問わず、車両のインプレッションも数多く行なっている。