ヨシムラ
第二世代Zへの礎を築いたZ1-R。その頭の先からつま先まで究極に角張ったスタイリングは、全世界で絶賛を浴びたものだった。
角の衝撃が生み出した、スポーティさあふれる70sカフェレーサー
たとえば、あるモデルを所有するに至るまで、ユーザーは何台ものバイクを乗り比べて買うわけだが、そのモデルに対しての評価軸というのは、自分がどういうインスピレーションをうけたかが核となるのではないだろうか。ライディングフィールがすごくエモーショナルだったり、よく曲がるとか、吹け上がりが気持ちいいだとか、要は乗っている時間をいかに満喫できるかが肝心なわけであり、その意味では最新モデルも空冷Zも分けへだたりはない。それが、僕のマインドでもあり、今回の試乗の大前提でもあった。
全体的な印象は同時に試乗したZ750FXとZ1000MkⅡと比較して、もっとも硬派な、角張ったイメージが強調されたもので、ライディングポジションも、もろに男性的な造りになっている。シートの幅が想像以上に広く、ハンドルバーの高さよりもシート自体の高さがけっこうあるので、なんだか妙なマッチングを感じる。フューエルタンクも角張っているからそれなりに違和感がある。走り出してひとたびコーナーで腰をずらしてバンキングさせていくと、なんというか、いかにも硬質なとっつきにくさがあるのだが、これをねじ伏せて乗りこなしてやろうか…、というようなマインドをかき立てられるところはある。決して軽快ではないが、バイクからの威圧感がたびたび伝わってくるのだ。「よし、お前がそうくるのなら、オレはこう乗ってやるゼ」そういう気にさせられるバイクだ。