ヨシムラ
スペックだけで片付けられないZ1000のエンジン
ここまで突き詰めたことを言っておいて何だが、まるでスーパースポーツモデルの性能のことを伝えているようだ。でも僕がここで乗った車両は、ZX-10RでもなければZX-6Rでもなく、ZZR1400でもない。まぎれもないネイキッドモデルのZ1000だ。でもそれだけZ1000の走りがネイキッドモデルの域を超えているということ。
一方のエンジンだが、もともと最高出力自体、ネイキッドモデルなら十分なくらい。そこで改善されているのが、公道での常用回転域のパワー感だ。わずかなスロットル操作に対して過敏にエンジンが反応するのではなく、ジワッと回転が付いてくるようなイメージ。これはフューエルインジェクションの熟成による効果と考えられる。アクセル全閉から開閉を繰り返したときに起こるインジェクションならではのギクシャク感、いわゆる“ドン付き”が低減。ピッチングモーションも以前より収まっている。
だからコーナリング中のアクセル操作もとてもスムーズ。アクセル開度を一定にしてタイヤのグリップ力にまかせて旋回しているとき、ちょっとスピードを調整しようとアクセルを開閉しても、車体がギクシャクすることはない。いたってなめらかに加減速する。排気量が1,000ccもあるから加速感もいいし、よく走る。ただ、決して最高出力などのスペックだけで片付けられないのが、Z1000のエンジンといえる。
そして、このエンジン性能をいかんなく発揮できるのも、この剛性バランスにすぐれた車体があってのこと。Z1000はそれらがとてもうまく絡み合っている。いよいよZ1000は、メーカー問わず他のネイキッドモデルから一歩抜きん出た。
主なスペック一覧
型式 | ZR1000B |
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全長×全幅×全高 | 2,090×780×1,065(mm) |
軸間距離 | 1,445mm |
シート高 | 820mm |
乾燥重量 | 205kg |
エンジン | 水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒・953cc |
ボア×ストローク | 77.2×50.9(mm) |
最高出力 | 125ps/10,000rpm |
最大トルク | 10.1kg-m/8,200rpm |
燃料タンク容量 | 18.5ℓ |
タイヤサイズ | (F)120/70-17 (R)190/50-17 |