ヨシムラ
2002年春、満を持して新型ZZR1200が登場した。実に1100からは何と13年ぶりのフルモデルチェンジ。果たしてZZR1200はカワサキの新しいフラッグシップたりえるのか? 2000年Xフォーミュラチャンピオンにして、生粋の12R乗り、最速のカワサキを知り尽くしたライダー・鶴田竜二が日本で初めて緊急試乗を敢行した。
スポーツツアラー、ここに極まる
今回のマシンは走行0kmという新車そのもの。緊急すぎてナンバーが用意できなかったので、某メーカーの協力を得てサーキットでのインプレッションとなった。公道テストができないのはストリートマシンとしては残念だが、逆にサーキットのほうがインプレッションとして、極限まで動力性能を試せるので好都合かもしれない。ガソリンを入れ、空気圧をを2.9kgf/㎠に合わせ、乗車。1100と比較し、車格に数値的な違いが少ないせいか、ポジションに違和感はなく、ZZRらしさを継承しているようだ。そして、エンジン始動。カワサキらしいメカノイズが響く。さて、新星ZZRの乗り味は…。
まず、走らせてすぐに感じたのが扱いやすさだ。これはエンジンの特性からくるものだろう。私の場合、普段のマシンがZX-12Rなので、どうしても12Rと比べてしまうのだが、低速域や発進時での走行で下がなくアクセルを開け気味に操作しなければならない12Rに対し、ZZR1200は十分な低速トルクがあり、実にコントロールしやすくなっている。またZZR1100に比べても100ccアップしたことでエンジンの懐が深くなり、1速・2速のギヤがロング化され、低速はより扱いやすくなり、2速ホールドでどこでも難なく走れてしまうほどだ。また、それにより1速〜6速はクロス気味のギヤレシオになり、スポーツモデル並のまとまりのよさを見せ、高速域までも幅広い扱いやすさを持ち合わせている。開発陣が「きれいに滑らかに走るためにミッションフィールは大きなテーマだった」と語っているだけに、その成果がしっかりと出ているようだ。
ポジションも先に述べたとおりで前傾すぎず起きすぎずで違和感はない。欲を言えば私の場合、腕が短いので、もう少し手前にハンドルやレバー類がきてもいいと感じた。いずれにせよ、こうして全体的に見ると、ZZR1200は非常にジェントルで、ZZR1100のフォルムを継承しつつ、より完成度の高いスポーツツアラーとして誕生したマシンであるということを実感することができた。