ヨシムラ
長距離を走り込むことで見えてきた、フルカウルスポーツの旅力
いよいよお楽しみのワインディングに突入だ。ニンジャ250SLのコーナーリング性能が高いのは承知だが、今回はツーリング先での峠道。初めて遭遇する、先が読めない道で走りを満喫できるだろうか? 結論から言うと「できた!」のである。ニンジャ250SLの特徴には、軽い車体のほかにスロットル操作に対してすぐれたレスポンスを持つトルクフルなシングルエンジンの存在がある。これが見知らぬ峠道で威力を発揮する。いつもより減速し先が見えないコーナーに慎重にアプローチ。カーブの曲率に合わせたラインに沿って進み、コーナーの出口が見え安全が確認できたところでスロットル全開。するとエンジンの爆発音に合わせて後輪が路面を蹴飛ばし加速していく。決して強大なパワーではないが、軽い車重とも相まって胸が空くような加速を体感させてくれる。これぞライトウェイトスポーツ! ニンジャ250SLが持つ魅力は、ツーリング先で出会った初めての峠道でも満喫することができたのだ。
今日の宿は日本海に面する新潟県村上市。瀬波温泉に浸かりながら走った1日目の約517kmを振り返る。運動性能の高さがもたらす恩恵はロングツーリングでも大いに感じられた。単に距離をこなすだけじゃなく、道中で楽しみを見出すことができたからだ。個人的にこういうツーリングは大好き。せっかくの旅なのだからできるだけ多くの体験をしたい。単なる欲ばりとも言うが(笑)。
懸念していたポジションと振動による疲労はほぼ感じない。もちろんやせ我慢ではない。とくにエンジンの振動がうまく吸収されていたのはうれしい事実。何も不安要素を感じないまま暖かい布団で眠りについた。
翌日は天気予報どおりの雨。いつもなら憂鬱な気持ちになるが、ニンジャ250SLとなら「いってやろーじゃん」という気持ちになるから不思議だ。シングルエンジンの適度なパワー感はウェット路面でも的確なトラクションがかけられ、車体をグイグイ進めていく。こりゃ楽しいじゃん。期せずしてウエットでのインプレを行うハメになったが、予想以上の快適ライディングに大満足だった。
1,000km以上走り編集部に着いた時に残ったのは、軽い疲労感と楽しい思い出だけ。天候の悪化をモノともせず長距離を駆け抜けたニンジャ250SLに乾杯したい。やっぱりこのバイク、好きだなぁ。
サイドスタンドの出し入れ
ハンドル切れ角
シート快適性
たそがれ度
横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。